AIを便利に使っているけれど、その仕組みを人に説明できずにモヤモヤした経験はありませんか?
ChatGPTや画像生成AIを日常的に使う人は増えましたが、裏側の仕組みを理解していないと「ブラックボックスの魔法」にしか感じられません。
しかし、仕組みを知ることでAIの限界や可能性を見抜く力が身につき、ビジネスや副業での活用力も飛躍的に高まります。
本シリーズ「AIの仕組みをわかりやすく学ぶ実験室」では、基礎から応用、そしてAIエンジンやアプリの開発に繋がる流れを実験的に解説していきます。
第1回となる今回は、AIを理解するための最初のステップ「AIと機械学習の基礎」をやさしく、かつ実践的に解説します。
AIの仕組みを理解する前に知っておきたい基本概念
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- AIと機械学習・深層学習の違い
- 学習と推論の流れ
- 人工知能の歴史的背景
以上を押さえると、AIの枠組みを大きく理解でき、単なる「ツールの利用者」から一歩進んだ視点を持つことができます。
AIと機械学習・深層学習の違いをわかりやすく
「AI」とは広い概念で、人間の知能を模倣しようとする技術全般を指します。
その中で「機械学習」は、データを使ってパターンを学習し、予測や分類を行う方法を意味します。
さらに「深層学習(ディープラーニング)」は、機械学習の中でもニューラルネットワークを多層化した手法です。
たとえば、ChatGPTは深層学習をベースにした大規模言語モデルであり、AIの一部に位置付けられます。
推奨図書:『ゼロから作るDeep Learning』(斎藤康毅 著)は、数式に踏み込みつつも初心者が基礎を押さえるのに最適な一冊です。
学習と推論の流れをイメージする
AIは「学習」と「推論」の2段階で動きます。
まず学習段階では、大量のデータを用いてパターンを見つけ出します。
次に推論段階で、新しい入力に対して学習したパターンを使い、結果を予測します。
例を挙げましょう。猫と犬の画像を大量に見せて学習したモデルは、新しい写真を見ても「これは猫」と判断できます。これは人間が経験から学び、直感的に判断する流れと似ています。
AIの歴史をざっくり理解する
AIは3つのブームを経験しています。
第1次ブームは「ルールベース」の時代で、人間がルールを手作業で定義しました。
第2次ブームでは「機械学習」が登場し、データからルールを自動で学ぶようになりました。
第3次ブームが現在の「深層学習」であり、膨大なデータと計算力を活用して自然言語や画像を高度に処理できるようになっています。
この歴史を知ると、現在の生成AIがどの位置にあるかを理解しやすくなります。
ニューラルネットワークとは?脳の仕組みとの対比で理解
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- ニューラルネットワークの構造
- 活性化関数の役割
- 深層化で表現力が増す理由
以上を踏まえると、AIがどのように情報を処理しているかを直感的にイメージできるようになります。
ニューロンと層の仕組み
ニューラルネットワークは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)をモデルにしています。
入力層がデータを受け取り、中間層で特徴を抽出し、出力層で結果を返します。
たとえば、顔認識では「線や角」を捉える層、「目や口の形」を捉える層、「顔全体」を判断する層といった具合に階層的に処理されます。
活性化関数とは何か?
単純にデータを足し合わせただけでは複雑な判断ができません。
そこで「活性化関数」を用いて非線形性を加えることで、多様なパターンを表現できるようになります。
代表的な関数には、Sigmoid(0〜1の範囲で出力)、ReLU(0以下を切り捨てる)があり、これらによってネットワークの表現力が飛躍的に向上します。
深層学習がなぜ強力なのか
層を深くすることで、単純な特徴から複雑な構造まで多段階で抽出できます。
これにより、画像認識、音声認識、自然言語処理といった難しいタスクが可能になったのです。
推奨図書: Ian Goodfellow著『深層学習(Deep Learning)』は本格的ですが、より深い理解を目指す人におすすめです。
教師あり・教師なし・強化学習をわかりやすく理解
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 教師あり学習の仕組み
- 教師なし学習の仕組み
- 強化学習の仕組み
これらの違いを理解することで、生成AIを含む多くのAIがどうやって学習しているのかがクリアになります。
教師あり学習の仕組みと例
ラベル付きデータを使い、正解を当てるように学習する方式です。
例:スパムメール判定では「これはスパム」「これは通常メール」とラベルをつけて学習します。
教師なし学習の仕組みと例
ラベルがないデータをグループ化する学習方法です。
例:顧客を購買パターンで自動的にクラスタ分けするマーケティング活用があります。
強化学習の仕組みと例
試行錯誤を通じて報酬を最大化する方法です。
ゲームで勝つ方法を学んだAlphaGoや、ChatGPTのRLHF(人間のフィードバックを用いた学習)が代表例です。
推奨図書: 松尾豊『人工知能は人間を超えるか』は、日本語で読みやすく、強化学習のイメージも掴みやすいです。
生成AIの基礎を知る(GAN・VAE・拡散モデル)
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- GANの仕組み
- VAEの仕組み
- 拡散モデルの仕組み
これらを理解することで、Stable DiffusionやSoraのような最新モデルがどの基盤に立っているかを把握できます。
GAN(敵対的生成ネットワーク)
GANは「生成モデル」と「識別モデル」が競い合う仕組みです。
偽札を作る人と、それを見抜く人の戦いに例えられます。
競争を通じて、よりリアルなデータを生み出すことができます。
VAE(変分オートエンコーダ)
VAEはデータを圧縮して再構築する仕組みで、特徴を潜在空間に写像します。
顔画像の生成や異常検知に活用されます。
拡散モデル(Diffusion Model)
ノイズを徐々に加えてから除去する過程を学習し、高品質な画像を生成します。
Stable DiffusionやOpenAIのSoraはこの仕組みをベースにしています。
『拡散モデル入門』などの専門書やオンライン資料が参考になります。
実際にAIはどうやって学習しているのか?
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- データセットの重要性
- GPUと並列計算の役割
- 学習の限界と課題
データセットの役割
AIの性能はデータセットの質に大きく依存します。
代表的なものにはCOCO、ImageNet、LAION 5bなどがあり、Stable Diffusionもこれらを活用しています。
計算リソースとGPU
深層学習では膨大な行列計算が必要です。
これを効率的に処理するのがGPUであり、個人PCでの大規模学習が難しい理由の一つです。
学習の限界と課題
データの偏りによるバイアスや、計算資源の格差が課題となっています。
また、倫理的な観点からの利用制限も重要です。
推奨図書: 『Pythonではじめる機械学習』は実践的に学べる良書です。
まとめと次回予告
今回はAIと機械学習の基礎をやさしく解説しました。
AI=魔法ではなく「データから学び、パターンを使って推論する仕組み」であることが理解できたと思います。
次回は「拡散モデルの仕組みと進化」をさらに掘り下げ、Stable DiffusionやSoraといった最新モデルをわかりやすく解説します。
さらに理解を深めたい方には、今回紹介した推奨図書を手に取ってみることをおすすめします。
もちろん全てを読む必要はありません、まずは興味のある一冊を手に取ることが、AI上級者への道かと思います😄
※この記事は2025年9月28日時点の情報に基づいています。最新情報は公式サイト等をご確認ください。
公式発表に加え、観測報道ベースの情報も含みますので、今後の動向を確認しながらご活用ください。
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